柔軟剤の話~番外編~
彼とは仲良くやっています。関係が落ち着いたので、ちょっと振り返り
彼と付き合いだした頃、気になったのは、彼の衣服から漂う柔軟剤の独特の香り。
香る度に、洗濯している奥様を想像して胸が苦しくなった。同じ柔軟剤を使おう!
常に香っていれば嗅覚も麻痺するし、気にならなくなると思った。我ながら短絡的発想。
ところが、ちょっと鼻につく珍しい香りで、どこのメーカーか分からない。彼に聞いても分からないだろうな。
スーパーを何軒もはしごして、片っ端から柔軟剤の香りを確かめる。私、何やってんだろ。多分、マイナーな外国製。うーん。突き止められない。諦めかけた頃、思いがけず判明した。仕事関係でお会いした女性から同じ香りがしたのだ。思いきって聞いた。
コンフォートというイギリス発の柔軟剤。
そこら辺では売っていない。
ネットで大量買い。家族に怪しまれないよう、徐々に使うように。彼はもちろん気付くはずもなく。
そうして1年が経過し、すっかり鼻になじんで嗅覚からの痛みが消えた頃、彼からその香りが消えた。ことに気付いた。
柔軟剤、変えたんだ。
次の柔軟剤を突き止める気力はもうなく。
このまま好きでもない香りを使い続ける気力もなく。
うちに積まれている柔軟剤レフィルを目にするたび、当時の記憶がよみがえり、心が痛い今日この頃です。
私、本当に何してるんだか、という話。