家族について
昔から親のことが嫌いだった。
理解ある友達の親と比べて、つまらない親だと思っていた。
母のぐちなんて聞きたくないのに、母にはそう言えなかった。父とは話すことが何も思い浮かばなかった。早く家を出たい。犬の散歩をしながら、毎日そんなことばかり考えていた。
親との絆がない分、彼氏にそれを求めていた。
こんな家族ならいらないと思い、結婚願望はなかった。経済的自立が私の人生の最大の目標だった。
家族の絆。
あんなに手に入れたかったものを自分からぶち壊している自分に激しい自己嫌悪が止まらない。
本当は家族を大事にしたいのに、どうやって大事にしたらいいのか分からず、それをいとも簡単にやってのける彼氏が憎らしくてたまらない。
結局、家族という得体の知れない怪物にずっとおののいて苦しむ私は、この怒りを年老いた両親にぶつけるわけにもいかず、不倫というかりそめの幸せの中に身を置いて、ごまかしながら生きている。
この恋のエンディングは、自分の中の葛藤と向き合い、それを受け入れられたときに訪れる。最近そう思うようになった。
嫌と言うほど思い知る。結局、家族なんだと。